オマールを食べる。part3 (ビストロ・モンペリエ 古典的フランス料理を求めて)

さてさて……オマールのコースは……佳境へと向かう訳ですが…(w

「オマールのパイ包み」

オマールを単純にパイで包むと言う事だけでなく……オマールを中心にして…周りをフォアグラで包んだ一品……
オマールのしっかりとした身の食感と甘さに加えて、フォアグラ特有の滑らかなコクのある甘さが重なり合っている中で

”赤ワインのソース”

シェフ曰く……
「普通は、オマールと言えば…”アメリケーヌソース”と相場が決まっているでしょう…? でも、それでは面白く無いし…
オマールの存在感を際立たせたいから…赤ワインのソースをベースにして、その中にオマールの香りを含ませるようにしました♪」
との事……

なるほど……まさに”意表”を突くとはこの事ですが…(w
その狙い通り…オマールの存在感が現れないようで…ヴィヴィッドに浮き上がる構成は、単に「オマールのパイ包み」と言う事を超えて
一幅の絵画や彫刻の様でもあります。

素材の持ち味を引き出すだけでは無くて、それに足し算や引き算をして”味覚の重層的な構造”を積み上げて行く……
と言う点が、料理の真骨頂の一つでもあると思いますが…
このオマールのパイの、オマールとフォアグラ…バターを利かせたパイの生地…赤ワインに薫るオマールの芳香……
いずれも自己主張の強いモノだけれども……それぞれが喧嘩をする事なく…絶妙の間合いを取って存在している…
あえて言うならば……パイと言う中で深淵な美食の宇宙を感じる…とでも言ってみましょうか…(w

さてさて……
その様な感動を覚えつつ……最後のデセールへと駒は進む訳ですが…

「絶妙に焼きが入ったバナナとルバーブのアイスクリーム」

火入れが見事なのは勿論ですが…
火が入って、甘さが濃ゆめになったバナナと…キャラメルが巧く補い合っている…と言う事と
それらの甘さとは別の空間と言うか時空にある様なルバーブの甘さの協奏を感じさせてくれる一品。
これまでの、”オマールの美味しさ”とは、また違う部分のジグソーパズルがピタッと嵌まる感じも、また見事♪☆
美味しいモノの続く中で…強すぎず濃すぎず…その炎を柔らかい火に持って行ってくれる様なデザートです。

そして……最後のコーヒーと「オレンジピール

先ほどのデザートがクライマックスを締めくくるかの様な感じでの着地をしていく部分ですが…
この「オレンジピール」の硬さと、硬質な甘さが……
それまでの”オマールの宇宙旅行”から…現実に還って来た(w
と言う事をしっかりと実感をさせてくれます。

しっかりとした硬い甘さだけれども…決して尖ってはいない…
どちらかと言えば…オレンジと砂糖の甘さを濾過して結晶化させた甘さのはっきりとした質感と
ブラックのコーヒーが、これまでの素晴らしいオマールの旅の風味をしっかりと固定してくれて…
否が応でもはっきりとした存在を残してくれる役割を果たしてくれています。

まさに……見事に着地♪と言う感じで…
美味しさと…感動に加えて…
これを作って下さったシェフの御苦労と心意気に感謝なのでありました。