オマールを食べる。part2 (ビストロ・モンペリエ 古典的フランス料理を求めて)

さて……そうこうしている内に予約した日を迎える事になった訳ですが……

”オマールを食べれる〜♪”と言う高揚感を感じつつ……

とはいえ…その日は、仕事を一日休んで美食に具える…と言う…求道的な時間(心身を休ませて…美食を感じる体勢に持っていく)を設けられなかった事が
若干の計算外でありましたが……

蔵前のビストロ・モンペリエに到着。

先ずは……「前菜代わりのアミューズ」として……

「鯵のリエット」「チキンの煮込み」「オリーブの漬物」の3品を頂いておりました。

”濃厚な味”と言うもの(イコール)= ”古典的フランス料理”と言う事では必ずしも無いのだとは思いますが……

その素材の滋味を引き出した上で、その滋味を何倍にも重層化するソースを付け加えていく……と言う事は大変に手間暇のかかる事であろうし…

それを味わう事が出来る”僥倖”と言うものを素直に感謝するところでもあります。

一見すると…無秩序な3品ですが(w……これから訪れるメインの”オマール”を味わう上で「舌」を整えてくれるのに十分な塩梅でありました。



「オマールのテリーヌ」


先ずは、一品目……自分の文章力が追い付かないのが…何とも悲しい部分ですが……

贅沢にもふんだんにオマールを使って作ったテリーヌであります。

テリーヌにした事で、オマールの甘い身を、いっそうキメ細かく……そしてオマールの身の裏側までも深く味わう事が出来るような丁寧な造り……

真ん中のオマールを法蓮草が巻いていて、更に味の輪郭を浮き立たせてくれます。

「オマール!」「オマール♪」「オマール☆」……と言うオマールの純度が限りなく高い…このオマールのテリーヌは…

元々のオマールの味を再構成して…甘いオマールを、その柔らかな質感の中に潜みつつ赤さを映した味覚と共に舌の上を駆け抜けて行くのでした。




「オマールのビスク」


2品目となる…”ビスク”…いわゆる、「スープ」と言う事になりますが……

しかし…これは、そんじょそこらの「スープ」とは違って……これまた、オマールを殻ごと擂り潰して造る…”オマールのエッセンス!”と呼ぶにふさわしい一品なのでありますが……

そんな能書きはともかくも……一匙、掬って口に運びますと……もう、口の中が茶色の濃い液体から創造される……”オマールの圧倒的な迫力と深さを持った茶色の3Dの液体”が、舌と脳を刺激して…オマールの潮の匂いや…オマールの味噌の匂い・味……の拡がりによるバイブレーションが、新しい世界を開くのではないか…?
等と言う…強烈な味覚の塔を打ち立ててくれるのです。

単純に「濃い」と言うわけでも無く……「なめらか・クリーミー」と言う事でも無く……

そこには、生きている”オマール”をホログラフ上にして、その影絵を取り巻くように「味噌の味」「オマールの甘い身の味」「殻の味」「調味料の塩の味・胡椒の味」……
と言った、スープを構成している要素が浮かび上がってくるような感じとでも言ってみましょうか。